どこかで見たようなレプリカではなく、自らのブランドが持っていたヘリテイジを範とすることで
リアル・クラシック――つまり本物のクラシックを形作っている。そのトライアンフの新しいラインアップに、新たに1930年代へのノスタルジーが加わった!

ボンネビルを飛び越えた「スピードツイン」リスペクト

あれは2016年の10月。トライアンフは、イギリス・ロンドンでニューモデルを発表する。その姿を見て、まさかトライアンフがここまでやるのか、と僕は思った。

画像: ボンネビルを飛び越えた「スピードツイン」リスペクト

そこで発表されたボンネビル・ボバーは、まさかのクラシックスタイル。その姿を見て、僕はボバーが、トライアンフの根っこともいうべきスピードツインを範としたのだと思った。

トライアンフ・スピードツインとは1937年に発売された、天才技師との誉れ高きエドワード・ター
ナーの作りし歴史的名車である。1902年からオートバイの生産を始めたトライアンフ。しかし、この500ccバーティカルツインのスピードツインこそが、トライアンフを一躍ワールドナンバー1メーカーに押し上げたと言われている。その説に異を唱える人はいないだろう。

完全無欠のオートバイの原形

画像1: 完全無欠のオートバイの原形

スピードツインは、完全無欠な「オートバイ」の原形をしている。フレームがあって、前後サスペンション、フューエルタンクの下にエンジンが威張っている、そんな形。けれど、まだサスペンションユニットが発展していなかったのか、フロントフォークはガーダー式、リアはリジッド+スプリングサドル。ここがボバーを感じさせるのだ。

実はスピードツインのリアサスは、ハブクッションと呼ばれる、リジッドフレームのまま、ホイール単体だけが上下にスイングする機構を備えていたのだが、それも巧妙にリアサスを隠したボバーに通じてしまう。トライアンフが、スイングアーム+リアサスの構成としたのは50年代中盤。だからボバーは、それ以前のサドルシートのルックスを見事に踏襲している。トライアンフは、ボンネビルを大きく越えて、スピードツインレプリカを作り上げたのかと思ってしまったのだ。

画像2: 完全無欠のオートバイの原形

もちろん、ボバーの車体構成はスイングアーム+リアサス。シートスプリングはなく、実はフレームにリジッドマウントされているのだが、サドルシートを採用したそのスタイルは、文句なしに新鮮で、カッコいい。

画像3: 完全無欠のオートバイの原形

リアセクションをスパッと切り落とし、リアホイールにはサイクルフェンダーを装着した姿は、間違いなく30~40年代のスピードツイン世代を手本としているのだ。

そして現代のトライアンフが、ボンネビルT120をベースに、その世代のオートバイたちを範としたボバーカスタムルックを作り上げた。ボンネビルから次々とコンポーネンツをはぎ取って、シンプル極まりない「ザ・オートバイ」の姿を作り上げ、極力ハーネスやホース類を露出させない設計思想。

プレミアムとは、このオートバイのこと

これは、シンプルさやオートバイらしさという言葉以上に、トライアンフのスピリットである「プレミアム」を具現化したものだ。事実、来日したトライアンフ本社の最高経営責任者ニック・ブロアーに「プレミアムなオートバイとは何か」という質問を投げかけたところ、真っ先に挙げられた例が、このボバーだった。

画像: プレミアムとは、このオートバイのこと

ボンネビルT120をベースとした、2人乗りもできない、シッティングポイントも限られ、荷物をくく
りつけるスペースすらないボバー。機能という面では690㎜という最高に足つきのいいポジションが目立つにせよ、ある意味これは「現代的な不便さ」が最高にクールなオートバイなのである。(文/中村浩史)

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